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百人百話 其の一残り九十九話
生きる訳
百人百話・・・・人には一人ずつ物語が、あるのです。今僕が持つこの本には百の物語がしまってあります。さぁ、今から始めませう。
+ + +
ずっとずっと遠い記憶。辛い辛い記憶、消してしまいたいそう何度思ったことでしょう。
忘れることはいつか出来るでしょうか?
昔々の僕はなんて愚かだったんでしょう。そして彼の人も。
+ + +
幼馴染で親友に等しい彼の人に刃を向ける。
なんて皮肉な運命。
逃げ道なんてない2人とも死ぬか、1人が犠牲になるかどちらか。
大切に思っている互いに消しあう。
こんな綺麗な蒼い空の下で。
「こんな綺麗な空の日に死ねるなんて幸せだね。」
彼は静かに諦めたように笑う。
「貴方が死ぬなら、僕も・・・。」
「それは駄目。君は生きて、僕の分まで。」
ただ穏やかな瞳。死ぬことを恐れない凛とした輝きを宿す瞳。
「どうして・・・?」
そう呟いたのは僕。
僕を貫いた鋭い刃、けれど急所は避けている。
「もう、さよなら。もっと一緒に居たかった。」
それが最後に見た生きている彼の姿。次に見たのは、冷たい躯。
最後に見た彼の凛とした瞳と僕の髪を撫でた感触が何年たっても忘れられない。
「どうして、生かしたの?」
虚空に問いかける。
+ + +
僕に「生きて」と望んだ彼の人。
本当は僕も彼にそう望みたかった。
恐怖があった僕には、彼には恐怖なんて一つもなかった。
今の僕は抜け殻、空っぽの心に溜まる温い涙。
でも彼が望んだとおり、こうして生き続けるのです。
End
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又の名の読み方も;