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世界には時を捻じ伏せる場所がある。
あまり信じてなんていない、
でもそんな世界があるというなら見てみたい。
そんな望み、叶うかは永遠の迷宮入りだった。
+ + +
本を返していない。
今から行けば間に合うと思う、自転車を必死で漕いでいけば。
「・・急ごう」
何処かに迷宮が在るという。
深い深い森の中に、本当かなんてそれこそ迷宮入りだ。
そんなことを考えながら自転車で道を駆け抜ける少年は"ユリ"
本人は不服な名前だ。花の百合、そういう意味だ、男の名前としては
あまり頂けない名前である。オマケに級友たちに揶揄われる。
「・・・・あれ・・・・・?」
見たこともない場所へ辿り着いてしまった。
もともと方向感覚に自信などなかったが、いつもと同じ道を辿ったはずだ。
・・・・わからない、けれど怖い。
建物がある、暗く大きい建物だ。
恐怖と好奇心が繰り返し交差する、窓から本棚が見えたのだ。
「あ、やっと来たか、新入り役員。」
窓から声が降り注ぐ、逆光で顔は見えないが自分より、2.3年上の声音だ。
「ぼさっとしてるなよ、入れ。」
人の気などお構いなしにそう言ってくる。
けれど元からの好奇心で足が動くのを停めることが出来なかった。
+ + +
「あの、入ってからなんですけど人違いじゃありませんか?」
一番にそう問う。目の前の少年はお構いなしで本をめくっている。
「やっぱ、都合の悪いことを忘れる悪癖は直ってないんだな、お前。」
溜息をついて 見ていた本から顔を上げる。
「俺の名前は"ホタカ"稲穂の穂に高いで、ホタカ。」
「あ・・僕は・・・。」
「あぁ。平気、お前の名前なら知ってる。」
「親戚か何かじゃないですよね・・・?」
首を傾げて問えば大笑いが返ってくる。
「ん~・・何から話そうかな。」
「ここは何処ですか、帰らせてください。」
「ここは図書館だよ、見ての通り。」
そういわれ立ち上がる。
―帰ろう、奇妙な空間から―
「無駄だぜ、出たってさっきまでの現世には帰れない。まぁ、当たり前だけどな。」
面白そうに笑って言う。
「ここに覚えはないか?」
「・・・ない。」
「そう、怖がるなよ。お前は忘れてるだけだ。戻っておいで、ユリ。」
そう言う声に威圧はない。あくまでも優しい声音だ。
ひとまず、戻ろう。
確かに今ココを飛び出して行っても帰る場所にたどり着けそうにない。
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又の名の読み方も;